『キノの旅』
ライトノベルの金字塔キノの旅のゲーム化。2作ある。
といえば、聞こえがいいが内容は原作小説の内容そのままのADV。
原作がオムニバス形式の作品なので、タイトルの合間合間に一応オリジナル主人公のショートショートがあるが、味付けは薄め。1作目のほうは、バギーで一人旅をしているというふんわりした設定だけあって詳細はユーザーの想像に委ねるタイプの主人公。選択肢によって、シズに出会ったりしたりしなかったりする。
2作目のほうはもう少し掘り下げされてて、無口なモトラドのジャンに乗ってキノという名前の旅人に再会するために旅をしている少年。選択肢次第ではかなり突飛な理由でキノを探していたり、変な顛末になったりもする。おまけ程度に目押し系のミニゲームもある。
原作の雰囲気をとても大事にした丁寧な作りをしてはいるが、フルプライスゲームとしては少し物足りないかもしれない。
……と思いきや、特筆するべきなのは音響。豪華なのである。中の人が豪華なのだ。
本作は原作キノの旅を地の文まで余さずフルボイス化した作品で、電子イラスト集兼ドラマCDとみなすとべらぼうに豪華な作品と言える。
...もっと見る特に地の文が登場人物の一人称形式であるため、若本規夫のオモシロ朗読劇と化す『店の話』 大塚芳忠の情感たっぷりの語りが満喫できる『祝福のつもり』は必聴物。
ほかにも、ハンサムで少し背の低い男役の千葉進歩がとあるモブの兼役もしているのだが、よりによってハンサムで少し背の低い男とそのモブ警官とで掛け合いが発生するシーンがあり、千葉進歩の声のカッコイイところと妙に甲高いところのギャップが楽しめる『歴史のある国』もおすすめ。
原作読者なら把握しているかも知れないが、コミカルとシリアスのギャップが激しい作品でもあるため、あとがきのノリのおまけパートも楽しい。意外なオチが待っている。
さらに、2のほうには時雨沢恵一の完全書き下ろし本編も1本収録されている。こちらはキノが主人公のパートだが最後の最後で選択肢が入り、少しだけオチが変わる。
このシナリオはかなり後になってから、原作の単行本にも収録された。
とにかく耳が幸せになるので、原作と声優ファンにはおすすめ。
なお、キャストは旧アニメのほうに準じている。


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